【寄りすぎレビュー】シャイノーラ ザ・ゲイル 36mm S0120052428

寄りすぎレビュー

前回の記事でレビューしたシャイノーラのThe Gailを、今度はもう少し寄って眺めてみたいと思います。

前回の記事はこちらからどうぞ。

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ケースおよび竜頭

コインエッジが目立つケースサイド。丸みが強調されたような恰好です。内側はポリッシュ仕上げのようです。

ケース側面はヘアライン仕上げになっています。

特徴であるマザーオブパールが象嵌された竜頭。近くで見ると、一般的なオニオンリューズに比べて彫り込みが浅いため、”オニオン調”と表現すべきかもしれません。

文字盤およびインデックス

まず最も目立つのは、文字盤中央に遠心上に広がるギョーシェ彫りです。

もともと紙面のような性状の文字盤ですが、並状のギョーシェによってさらに立体感を醸しています。

インデックスは偶数はがアラビア数字、奇数がバーインデックスの仕様で、いずれもアプライドです。

直線的に打ち抜いたような形状で、高さが強調されています。

ブランドロゴもアプライドです。こちらは丸みを帯びた形状ですね。

中に白のアクセントが入ったリーフ針が採用されています。この白が竜頭のマザーオブパールと色調が合っており、これが女性向けモデルであったことを思い出させてくれます。

秒針はベーシックなバータイプ。

ベルトおよび尾錠

ベルトはホーウィン社製。うっすらと”Horween Leather”の判押しが見えます。ここでは”BUILT IN THE DETROIT”ではなく、”UNITED STATES”になっていますね。

尾錠裏側には、シャイノーラのブランドマークがオレンジ色で入っていました。これもプリントではなく刻印のようです。

ムーブメント

Shinola Argonite 715

出典: SHINOLA
  • 駆動方式: クォーツ (3針デイト)
  • 直径: 26.20mm
  • 厚み: 2.5mm
  • 備考: Ronda Caliber 715と同一

公式HPの表記ではArgonite 715とありましたが、これはRondaのCal.715と同一とのこと。海外のブランドではよく使われるクォーツムーブメントで、有名どころではモンディーン、モバードなんかで搭載機を見かけたことがあります。

前回の記事でも言及しましたが、ケース裏の文字列は印刷ではなく凹凸があります。DETROITの文字がなんとなく浮き上がっているのがわかりますでしょうか。

”BUILT IN DETROIT”について

シャイノーラはデトロイトに端を発し、”BUILT IN DETROIT”を謳っていますが、全ての部品をデトロイトで生産しているわけではありません。それどころか、多くの部品を国内外に外注し、それを組み合わせているというのが実態です。

これらの外注先についてはある程度公表されており、例えば腕時計に関わる具体的な部分では、2020年3月現在で下記のようになっています。

  • ケース:中国
  • 針:中国
  • 風防:中国
  • ブレスレット:中国
  • バックル:中国
  • レザーストラップ:米国およびドイツ、イタリア
  • 文字盤:中国および台湾
  • マザーオブパール:インドネシア
  • ムーブメント:スイス

ストラップモデルの場合、レザーの仕入先に米国が含まれています。The Gailに使用されていたストラップは、かの有名なホーウィン社 (イリノイ州シカゴ) の物でしたね。ちなみに縫製は米国内で行っているようです。

ムーブメントに関しては、クォーツモデルにはRonda (ロンダ) を、自動巻きにはSelita (セリタ) の機械を輸入して使っているようです。前述の通りGailにはロンダが使われていますし、自動巻きのRunwellには、有名なセリタのSW200-1などが採用されています。

つまりストラップおよびムーブメント以外の構成要素については、その殆どが中国の外注先で製造されている事になります。とりわけブレスレットモデルの場合、ムーブメント以外の構成要素はほぼ中国のサプライヤー由来のものです。これをデトロイト発とするのは誤解を生みかねないと米連邦取引委員会 (FTC) が問題視したことを受け、現在は”BUILT IN DETROIT”の下に小さく”SWISS AND IMPORTED PARTS”と表現されているようです。

シャイノーラの定価と実勢価格の乖離について

米国の割引商戦は、日本のそれに比べてやや苛烈です。通常の百貨店のセールや、アウトレットストアだけでなく、オフプライスストアという業態も存在するほどです。アウトレット店舗などに赴けば、70%や80%オフでたたき売りされている様をよく見ます。そしてこの値引きのサイクルがなかなかに早いため、数か月前に定価で買った今年の新作が、今は直営アウトレットで70%オフ…なんてことが起こり得ます (これがいわゆる”二重価格表示”の土壌を作ってしまっている気もしますが…) 。米国ブランドの衣料品に顕著なこの傾向ですが、どうもシャイノーラの時計に関しても同じ現象が起きているようです。

実例をあげますと、このThe Gailの定価は販売当時$650~$900と設定されています。ところが私はミシガン州にある直営アウトレットストアで、これを$200にて購入しました。割引率はおよそ70%に相当するわけですが、型落ち品とはいえ腕時計ではなかなかお目にかかれない率かと思います。店舗の販売スタッフと会話した限り、バックヤードにはまだまだストックがある様子でした。つまり、今後それなりの在庫数を定価から70%オフの価格で捌く必要があるわけです。これはブランド側にとっては大きなリスクになります。

一方、シャイノーラの共同設立者の一人はFossil (フォッシル) の創業者でもあるため、この米国特有の割引商戦の感覚には精通しているはずです。 であれば、商品企画の段階で値引き販売で一定数を捌く事を念頭に置いてコスト計算し、その結果を踏まえてやや高めに定価を設定している可能性が高いです。 シャイノーラの定価設定がやや強気に見えるのは、デトロイトという特別な地で時計を造っているから…ではなく、こういった米国の小売ビジネスのリスクを考慮した結果ということになるでしょう。

ですからここの時計を定価で、特に日本国内で購入する場合は、そのあたりの感覚も踏まえておく必要があるかもしれません。

後書

色々と寄りすぎたことに言及してしまいましたが、このGailを含めて全体的に洒脱なデザインが光るブランドである事は間違いないと思います。前述の通り定価設定には要注意ですが、2万円前後で手に入るのならば、同価格帯の時計に比べデザイン・クオリティ共に優位にあると感じます。例えばミシガンを訪れた際のお土産としては、結構おすすめです。

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