【寄りすぎレビュー】ブランパン ニュークラシック ウルトラスリム Ref. 2021-3630-55

寄りすぎレビュー

前回の記事では、ニュークラシックを“引き”で眺めてみましたが、本記事ではもう少し“寄り”で眺めてみたいと思います。

前回の記事はこちらからどうぞ。

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ケース

ケースサイズ自体が36mmですから、現代の時計に比べるとやはり小ぶりです。更にベゼルに程よいボリューム感がありますので、普通の36mmケースに増してダイヤルの面積が小さめです。

同じダブルステップベゼルを持つ現代の時計、FC-306MC4S36との比較です。ケース径自体に3mmの差があるのですが、それ以上にダイヤルの小ささが感じられます。

ブランパンでは定番デザインの、丸みを帯びたダブルステップベゼル。ステップドベゼルはアンティーク時計などで見られる仕様ですが、最近はそれほど見ない気がします。

ラグ足

短めのラグで、ちょっとずんぐりした感じが可愛らしいです。

バネ棒を通す穴は貫通しています。貫通式も最近はあまり見ないですね。ベルト交換を前提にすると貫通式のほうが楽だったりもするのですが、恐らくは外観上の問題でしょうか。

ちなみにバネ棒も金無垢製です。金無垢ケースでもバネ棒だけはステンレス製、という時計もありますから、それを考えると少しリッチな仕様と言えるかもしれません。

竜頭はBlancpainのBがかたどられています。

文字盤側から見ると竜頭がケースにちょっと埋まっているように見えるのですが、裏側から見ると完全に埋まっているわけではないようです。

思ったよりも個性的というか、複雑なケース構造になっているようです。

文字盤

オパーリンの様な粒子感はなく、かなりマットな印象です。

インデックスの付近で段差がつけられており、外周と内周でそれぞれ仕上げが違うようです。

インデックス

実はインデックスこそ、このニュークラシックにおける最大の特徴かもしれません。

すべてアプライドで、いわゆるブレゲ数字と呼ばれるようなアラビア数字と、楔形のインデックスとの混在になっているのですが、このアラビア数字の立体感が見事です。

ケースサイズの割に妙に存在感があるのは、 文字盤のマット感とインデックスの立体感との対比が効いているからかもしれません。ちょっと妖しい雰囲気の書体も相まって、何やらそこはかとない色気を感じてしまいます。

またどうしてもブレゲ数字ばかり目立ってしまいますが、楔形のインデックスも綺麗です。

丸みを帯びたインデックスやケース形状からして、全体的に“丸っこい”印象のある時計ですが、針だけは一転して極めて直線的な形状です。

針自体の厚みもかなり薄く、フラットな形になっています。曲線的なリーフ針でも合う気はしますが、意図的に直線の要素を放り込んだということではないかと思います。この辺の感性が何ともそそるのですが、同時に好みが分かれるポイントかも知れませんね。

そういえば風防はサファイアガラスですが、こちらも殆どフラットに見えます。

尾錠

至ってシンプルな尾錠です。ケースの主張が弱くないので、かえってこれくらいが良いのかもしれません。強いて言えばバネ棒を通す部分の外側が、ちょっとだけ突き出た格好になっています。強度向上のためかなと思いましたが、あるいはデザインも兼ねているのかもしれません。

ムーブメント

Blancpain Caliber.21

  • 駆動方式: 手巻き (2針)
  • 直径: 20.4mm
  • 厚み: 1.73mm
  • 石数: 18
  • パワーリザーブ: 42h
  • 振動数: 21,600 A/h (3Hz)
  • 備考: ベースムーブはFrederic Piguet Caliber 21

Frederic Piguet (フレデリックピゲ) 製のCaliber.21をベースとした、Blancpain Caliber.21が搭載されています。FP Cal.21は主に高級機向けの薄型手巻きキャリバーで、古めのカルティエやショパール、ブヘラなどで見られます。またブランパン同様、パテックにもエボーシュとして納入されており、Cal.175やCal.177のベースになっていたようです。

ムーブメント上にも、Cal.21の表記が読み取れます。18石、5ポジです。

このFP Cal.21は只者ではなく、その歴史を追えばおよそ100年前に遡ることになります。1925年の初出の時点でキャリバーの厚みは1.75mmで、これは当時の最薄記録でした。後にAP 2003によって取って代わられる事になりますが、少なくとも20年間は最薄のキャリバーだったということです。また最薄記録を塗り替えられた後も、基本設計のシンプルさから長きにわたり重用されたようです。2000年に入ってもまだ採用されているほどで、相当なロングセラーといえるでしょう。

ちなみに前期型と後期型が存在し、後者は前者に比べて更に0.02mm薄くなり、振動数が2.5Hzから3Hzに変わっているようです。現在の機械式時計における主流は4Hzと言われていますから、何となく歴史を感じますね。

本機の仕上げも十分美しいと思うのですが、単純にムーブメントの美観のみを見るのであれば、現行品でもっと精緻で美麗なものもあるでしょう。ただ、何重にも連なる微細な歯車やその他の構成部品が、わずか1.7mm程度のスペースに収められ、正確に時を刻んでいる様は感慨深いものがあります。しかもその基本構造は、およそ100年前と殆ど変わっていないのというのですから。当然CADどころかパソコンすらもない時代ですから、その努力のほどが伺い知れます。

現代の時計においては薄い事だけが正義ではありませんが、当時は多くのメーカーが厚みに対して真摯に取り組んでいたのだろうな、と敬服せずにはいられません。

後書

現行のブランパンは、仕上げの美しさ (および価格) に磨きがかかる一方、ドレスウォッチであっても40mm超の大径モデルを多く出しています。大径が流行るのは時代の流れですから、問題はありません。

しかし、そろそろこの時計のような“凝縮感”を感じたいような気もしています。ここらでなにかひとつ、35mm前後の選択肢を出してくれないものだろうかなどと考えつつ、ニュークラシックを巻き上げる日々はまだ続きそうです。

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