巷には数多くのコーヒーミルが存在するが、最近はハンドミルのプレミアム価格帯の商品が良く目につく。
有名どころはコマンダンテやKinuなどだろうが、それらと並んで極上のハンドミルとして知られるのがBPLUSが手掛けるApollo manual hand grinderだ。本機は分解の簡単さや流麗なデザインも相まって、一部の好事家の間で好評を博している。
筆者も購入以来かれこれ3年ほど使っていたが、最近になって破損に見舞われた。
とはいえ非常に軽微な破損だったので、備忘録もかねて修理の経緯を書き残しておくことにする。
破損した部品

今回破損したのは、図示したネジ。

恐らくは疲労破壊と思しき壊れ方である。
破損した部品の詳細
このネジが破損すると、一体どのような影響があるのだろうか。
カバーを外した状態で、簡単な概略図を示してみる。

このネジは、ダイヤル調整つまみ(淡青色部分)とミルのハンドル(赤色部分)とを挟み込みつつ、中心軸(緑色部分)に嵌合している。
これによってハンドル側と本体側とを繋いでいるのだが、ここが留まっていないとグラインドがぐらついたり、軸が抜けたりという事象が発生するわけだ。
製造元へ連絡してみる
すぐ製造元のBPLUSに連絡してみたところ、無料でスペアの部品を台湾から送ってくれるとの返答が来た。ただし送料だけはこちら負担で、おおよそ20ドル程度かかるらしい。
部品代がタダ、というのは素直にありがたい事だ。ただハンドルならともかく、ネジ1つを受け取るためだけに20ドルとなると少々気が引ける。そもそも国際発送となると日数もかかるし、その間ミルが使えないのはなかなかに痛い。
結果、今回はスペア部品の送付を依頼しない事にした。BPLUSはPavoni関連部品もリリースしているので、遠くないうちに別の部品を注文する機会もあるだろう。その時に改めて依頼すれば良い話だ。
M4の小ネジで代用してみる
さて、スペア部品を頼まないとなると代用のネジを探す必要があるが、サイズはどうやらM4が合うらしい(ほんの少し緩い気もするが、公差の範囲内かもしれない)。
ただ問題は長さである。というのも、今回改めて分解してみて『はめあい長さがちょっと短いのではないか』と感じていたのだ。
分解した長さから推定するに、中心軸と実際に嵌合しているのは4山くらいらしい。はめあい長さをいくつにするかは設計者のセンスに因るところが大きいし、あまり荷重がかからない部分ならこれでも問題ないのだろうが…常にハンドルの剪断力が働く箇所を留めるM4ネジとしては、もう少し守り気味に設定しても良い気がしていた。

そういった背景で、今回はM4×20mmの小ネジを選択した。
逆に守り過ぎな感もあるが、丁度良い長さが無いので仕方がなかった。
はめあい長さのイメージとしては下記のような想定で、大体9山くらい噛んでいるはずである。


修理後の見た目。
元を知っているとやはりやや寂しいが、思いのほか悪くはない気もする。
使用感も今のところ問題ない。あくまで正規のスペアパーツに換装するまでのつなぎではあるが、同様の破損に見舞われた御仁の参考になれば幸いである。